ニコ・ピロスマニ

ニコ・ピロスマニ彼の絵を見に来る日本人旅行者は少なくないという。

19世紀後半から20世紀初頭にかけて活躍した画家、ではない。生前はほとんどまっとうな評価を得ることなく不遇のうちに亡くなったさすらいの人だったらしい。日本では加藤登紀子の「百万本のバラ」の歌われている詞はピロスマニとフランス人女優マルガリータを題材にとったと言われている。

ピロスマニについては絵本作家のはらだたけひでによる著作でよく紹介されている。(Amazonへのリンクの貼り方がよくわからないのだけどこれとか) 氏の勤務する岩波ホールではピロスマニの映画の上映や昨年もグルジア映画特集を組んでいた。

ピロスマニの絵はどこで見れるかというと

The National Gallery ここが一番多くの作品を所蔵している トビリシ

Sighnagi National Museum カヘティの観光地の一つシグナギの国立博物館にも

Niko Pirosmanashvili Museum シグナギから1時間ほどのピロスマニの故郷ミルザアニ村にある博物館 オススメ

無名のまま、野垂れ死にのような最後だったピロスマニだったが現在ではグルジアの国民的画家として国内でも非常に人気が高い。

番外Niko Pirosmanashvili Museum トビリシ鉄道駅近くのピロスマニが晩年住んでいた部屋を見にミュージアムにしたもの 絵はすべて複製だが最後に住んでいたという部屋や写真などが見れる。

5ラリ札にもピロスマニの絵が
街のグラフィティアートでもピロスマニのパロディが
マッチも

私はピロスマニの作品の中でもとりわけこの絵が好きなのでいろいろ集めてしまう。タイトルは本人によるものではないと思われるが「Night fisherman」”夜の漁師”ということになる。

グルジアは西に黒海を持つので海産物と無縁の国、ということもないのだけど食事で魚と言えば海の魚でなくて川の魚。マス、コイそしてこの”夜の漁師”が片手に下げてるナマズがよく食べられる。

この静物画はもしかしたらレストランや居酒屋に頼まれて描いたものかもしれない。子豚や丸鶏、串焼きや葡萄に混ざって真ん中に吊るされているのもヒゲの生えた大ナマズだ。

私は昔にタイでナマズのから揚げを食べて以来ナマズ料理が大好きで台湾に住んでいた時もナマズの薬膳スープをよく食べていた。グルジアではどう食べるのか興味津々でレストランではいつもメニューにナマズ料理を探していたのだけどなかなか置いてるところがない。置いていても一緒に食事する人の同意が得られなかったりとなかなか食べるチャンスに恵まれなかったのだけどある時グルジアの友人が誘ってくれた。「実家からいいナマズが送られてきたから食べに来い」と。どうやら養殖のナマズでなく禁漁期に”うっかり”手に入った天然ナマズらしい。

カヘティはピロスマニの出身地であり、この友人の実家も同じ。一般的にはグルジア一番のワインの生産地として有名だが豊かな農産物、畜産物で知られる。カヘティ料理は素材の味重視であっさりシンプルなものが多いらしい。豚の串焼きも牛の水煮も下味などはつけずにシンプルに食べる。ナマズも同じだった。輪切りにしたナマズを水煮してたっぷりのキンズィ(いわゆるパクチー、香菜)にワインビネガーを振りかけて食べる。「お前はこれ以上うまいナマズをトビリシ中探しても見つけられない」という友人の言葉にはウソはなさそうなおいしさ。ナマズの白身肉は腹皮に脂肪がのってるのだけどワインビネガーでさっぱりいくらでも食べられた。

ピロスマニの絵について書くつもりがナマズ食自慢になってしまった。ピロスマニはトビリシの街で店の主人に頼まれて描いていたので食べ物や宴会の絵が多い。大きな絵の中に小さく描きこまれたグルジアの宴席はほのぼのしてる。

そして宴席に欠かせないのはもちろんワイン。牛や羊の角で作った角杯で白ワインを幾杯も干すのがグルジアの正統な宴会なんだろう。

いつのころの作品かわからないけれどブリキ板に”冷えたビールあり〼”とコピー付きの居酒屋看板広告も描いている。

グルジア/ジョージアで観光ガイドをしています。お問い合わせはこちらから

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