グルジアワインの種類

グルジアのクウェヴリワインは色の濃いアンバーワイン

先日、友人の家で飲んでいると自身もワイン生産者であるグルジア人が教えてくれた。「ジョージアには3種類のワインがある」と。以下はその抄訳。

ジョージア国内外に一番多く流通しているのは大きな工場でつくられる添加物だらけのワイン。これは論外。イーストや酸化防止剤、香料が加えられてるものなんてのもある。これをワインとは呼びたくないけどね。ソ連のころにこういう大量生産体制ができてしまったんだ。今でもこれらのワインがロシアや中国へ大量に輸出されてるんだよ。(日本でも某大手ディスカウントストアやネット通販でみかけるやつはこのタイプ)

陶器製の奇をてらったようなワインはちょっとあやしい・・

本物のワインは次の二つ。

一つは俺たちみたいな生産全体を自分で管理できる規模でジョージア伝統のワインづくりを再興している小さなワイナリーが世界のワイン愛好家に届けるべくつくるワイン。生産量は年間で数千リットルくらいのワイナリーが多い。

地中に埋めたクウェヴリ(素焼きの甕)で醸造されるナチュラルワイン

もう一つは俺たちの爺さんやオヤジさんたちが自分のために毎年つくっているワインだよね。自身と家族が一年間飲むに困らないようにつくるワインだから生産量は500Lくらいじゃない?国外に出回ることはまずないよね。

友達の実家へお呼ばれした時にふるまわれるのはオヤジさん自慢の手づくりワイン

俺は国外のワイン愛好家を唸らせようとつくるワイナリーのワインとジョージア全国のオヤジさんたちが自分たちのために作るワインの間に大きな差があると自負している。自分たちはワインヤードの葡萄の成長からワインの仕込みまで年間を通じてワインづくりに全身全霊を傾ける。クウェヴリというデリケートな伝統製法を用いながらもクリーンな味わいを持つワインを目指している。そのワインをヨーロッパや日本から訪ねてくるインポーターに買ってもらうことで生活している。

オヤジさんたちの自家製ワインはそこまでできない。本業の合間に葡萄をみたり、収穫期に葡萄を買ってつくることだって多い。でもオヤジさんたちのワインも本物なんだよ。クウェヴリを使わなくてもナチュラルであろうとしているし、ジョージアの伝統的な生活に根差したワインづくりなんだ。つまり畑を耕したり、牛を飼ってチーズやマツォーニ(ヨーグルト)をつくる日々の生活と折り合いをつけながらワインをつくることはライフスタイルとしてはより自然なワインづくりなんだ。そうしてつくられるワインは雑味も多くてファンキーなことも多いけどそれもまたジョージアワインなんだ。

グルジアワインの愉しみ

グルジアワインの愉しみはこの二つ。 本格の生産者が丹精したクウェヴリワインと隠居したオヤジさんたちが毎年の道楽でつくるワイン。飲んでみればこの差は歴然なんだけどハレとケというか、双方にそのよさがある。クウェヴリは一口千金の芳醇がある一方でその強さから何リットルもは飲めない 。 金銭的にもグルジアの平均感覚からしたら篦棒に高いし。 特別な時に愉しみたい。

親父さんたちがつくるワインは求めてる味の指向性が本格のクウェヴリワインとも異なるようにも思う。簡単に言うと甘味を残して度数も軽め、水より葡萄果汁よりスイっと喉を通るあの軽やかさは他のどんな酒にも替え難く、気付けば二人で3リットルくらいは軽く空いちゃう。 一口一口を愉しむというよりも10回、20回と乾杯を愉しむためのワインかも。

グルジア旅行に来て上質なクウェヴリワインを試さないのは大変もったいないけれど、日本ではまず飲むことのできないオヤジさんワインをガッパガッパ飲んでみるにもグルジア旅行のまたとない愉しみなんだと思う。ワインづくりは10月から11月、オヤジさんワインは新年を迎えるころには出来上がり。本格クウェヴリは毎年5月が新酒発表会。2020年も甲乙つけがたいワインの愉しみ。


グルジア/ジョージアで観光ガイドをしています。ワイナリーツアーなどお問い合わせはこちらから

ワイナリー見学ではクウェヴリの埋め込み作業が見れることも


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